2 巨大ネットカフェとそこに潜むモノたち
(あるいは殺人者)
サラマンダーのシャワー室は、ネットカフェにしては広くて清潔だと評判になっている。
そのシャワー室へ向かって、一人の少女がだるそうな足取りで向かっていた。
まだ成人はしていないように見えるが、派手なメイクが崩れかかっていた。うたた寝をしていたのか、顔が腫れぼったい。
まだ中学生といっても通るような、あどけない素顔が覗いていた。
足の綺麗なのが自慢らしく、思い切ったミニで長い脚を露出している。徹夜で遊んで、サラマンダーで夜を明かしたのだ。
少女は薄暗い店内の狭い通路を通り抜けて、シャワー室のある、明るいフロアーに出た。
シャワーを浴びてさっぱりしたら、お母さんに電話しよう。朝の早いお母さんは、その頃には起きているに違いない。
もう何日も連絡していなかった。きっと死ぬほど心配しているに違いない。
最近は顔を見合すたびに口論しているが、無性に母親の声が聞きたくなった。
シャワー室のカギのかかるドアを閉めて、中に一歩踏み出そうとしたとき、痛痒いような感覚に、自分のむき出しの太ももを見た。
膝の10センチ位上のあたりに、真横に赤い線が引かれていた。
なんだろうと思って何気なく触ってみた。粘度のある液体のようだった。指についたものは彼女の血だった。
小脇に抱えていたシャワーセットが落ちた。
少女はぺたんとしゃがみこんだ。
その動きで太ももの皮膚が引っぱられた。
一本の赤い線がぱっくりと大きな楕円形の口を開けた。
大量に溢れ出す血液。突然襲ってきた激痛。
思考能力を失いながら、少女は自分の膝に出来た大きな赤い口を見つめていた。
―あの奥に時々見える白いのは……骨?
「今救急車を呼びました。大丈夫ですよ」
後ろから抱え上げようとする、たくましい腕を感じた。
急に泣きたくなって、少女は声をあげて幼い子供のように泣きじゃくった。
突然泣こうにも声を出せなくなった。空気が漏れている、と思った。
気がつけば目の前に大きな姿見があった。
右足が血で真っ赤になっている。後ろで支えていてくれる者の姿は少女の陰になってみえない。
手だけが背後から出て、少女の顎を少し持ち上げるような仕草をした。
少女の細い首に、真っ赤に裂けたような大きな口があらわれた。
そこから噴き出す大量の血液を少女が見ることはなかった。
「お母さん」と言いたかったが、声にはならなかった。
~つづく~
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コメント
ちょっと怖いお話ですね。
投稿 聖子 | 2007年10月10日 (水) 17時32分
かなり怖いですね。
ネット連載小説を読むのは初めてです。
早く続きが読みたいですね。
投稿 ドスコイ | 2007年10月11日 (木) 02時12分
読み始め私、実はyosiのディープラブの話好きだから一瞬きたぁ〜って思っちゃいました。
私的にどんな話か興味ありではじめの印象は恐い‥
この女の子が主人公なのかな‥?せいぎのチカラ前作の守護天使に引き続いて楽しみにしてました!
投稿 アンパンマン | 2007年10月11日 (木) 12時34分
続きが気になります!【守護天使】が最高に面白かったので期待☆大です!
ちょっと怖い感じなのかな…いやでも…
う~ん、とにかくこれからの楽しみが出来て嬉しい!(笑)
頑張って下さい!
投稿 みずみず | 2007年10月11日 (木) 15時13分
最新作待ってました。今回も期待してます!
どんな話になるのか楽しみです。はやく続きがよみたいな。
投稿 oku | 2007年10月11日 (木) 23時25分
わぁ〜い。連載待ってました。
守護天使とか、マンガみたいな展開で
すごいウケたんですけど。
また、おもしろネタあるのかな。。。
投稿 bumigo | 2007年10月12日 (金) 01時22分
やはり連載出たなという感覚で勝負されている印象です。
巨大ネットカフェに潜む生体モノたち(あるいは殺人者)は少女登場人物キャラクターをロー・ティーンエージャー年齢層に絞ったのに巨大ネットカフェ名前は「サラマンダー」だとか、実にジジ及びババ近い高年齢層が喜ぶ表現レンジのコントラストも出ています、さらに得意ですが。やっぱり少女趣味と
批判されるような事があっても「クラシックなホイチョイ安易
冒険や特定車内で見る連続推理小説モノ」とは一線を画した「現実味」のあるスレッドが露見出来てさらには主張で決まっていますが!・・・シャワー室の後に、朝にはお母さんに電話しようとした方針が素晴らしく近接なアプローチ年代層方式ではスグレています。しかし、まさにエンディング ストーリーは「少女連携的な残酷な大綱」での怖い緊迫シーンでの
決着はそれからは「悲劇」ですが...。
投稿 Emporia8 | 2008年2月25日 (月) 14時42分