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8 異能力者組合第1回オフ会(宇宙規模?)

 「それでは、異能力者組合の記念すべき、第一回目のオフ会を開催いたします。ワタクシ、幹事を務めさせていただきます、ばんぜん・だいりきと申します」

 小さな男は満面の笑みを浮かべながら、参加者を見渡した。
 男の前には「幹事 万全大力」と書かれた札が置かれていた。

 声も体に似合わない野太い、よく通る声だった。少々大きすぎるともいえる。
 声と同じく身振りも大きいので、頭に載せたバベルの塔がゆらゆらと揺れていた。

 周りからの好奇の視線を感じて、伊能はひどく居心地の悪さを感じた。参加するんじゃなかったという後悔がこみ上げてくる。

 開始時間が近くなったころ、集まり具合を見にきて、バベルの塔の男の隣に、昨日の奇妙な老人が座っているのを見て、思わず声を上げてしまったのだ。

 老人の前には「最高顧問」と書かれた札が置かれてあった。
 老人は昨日出会った時のように、奇妙に澄んだ目で伊能を見つめて微笑んだ。

 伊能は吸い寄せられるように、老人の前に座ってしまったのだ。
 老人は相変わらずニコニコしながら参加者たちを見ていた。

 参加者は、伊能、老人、万全と名乗る幹事を含めて8人だった。
 年齢も服装もまちまちだが、共通しているのは、誰もが無関心な顔で、自分は関係ないといったポーズをとっていることだ。

 おそらく自分もそんな顔をしているに違いないと伊能は思った。
 わざわざ顔の目の前にケータイを持ってきて、ゲームらしきものをやっていたり、あくびをしながら、そっぽを向いたりしていた。

 しかし、そんな雰囲気にも万全の笑顔が曇ることはなかった。

「それでは、皆さん自己紹介をお願いいたします。もちろん話せることだけでいいんです。本名でも、ハンドルネームでも、ニックネームでも構いません。ただしどんな異能力をお持ちなのかは教えてください。では、そちらからお願いいたします」

 ケータイでゲームをしていたボサボサ頭で顔色の悪い痩せた男が、万全に指さされて、「俺?」と一瞬戸惑ったような顔をした。

 男は周りをきょろきょろ見渡してから、体を乗り出して重大な秘密を打ち明けるような囁き声で語りだした。
 目の玉が凍りついたように動かないのがちょっと不気味だった。

「俺の名前は、ウケ・ポ・デナラホといいます。いわゆる宇宙人です」

 そっぽを向いて菓子を食べていた太った男が飛び上がった。

「お、おたくも宇宙人なの?僕もなんだよ!」

 とっさに伊能は帰りたくなったが、万全の笑顔に動揺はなかった。
 さらに何かを語り続けようとする自称宇宙人を、柔らかく制するように言った。

「ごめんなさい。異能力者組合は地球人限定なんです。宇宙人の方は、どうぞ別な席で親交を深めてください」

「なんか差別っぽくね?」とかブツブツ言いながら、宇宙人の二人は別の席に移動した。

 ますます白けた雰囲気になるなかで万全と老人は微笑みを絶やさない。
 伊能はなんとか中座して逃げ出す気になっていた。

 次に話し始めたのは、眼の下に隈を作った若い男だった。

「僕は、25歳の派遣です。プログラマーをやってます。あ、名前は勘弁してください。僕の能力は予知能力です。しかも特定の事に対しては、ほぼ完璧な予知ができます」

 ほおっと皆が関心を持って体を乗り出した。

「特定の事って?」

 先を促す万全の顔は期待に輝いていた。
 その様子に満足げに肯いて、男は話を続けた。

「宝くじです」

 おおっとどよめきが走った。

「た・宝くじの当選番号の予知?」
 万全が興奮を抑えきれない様子で聞いた。

「いえ。宝くじを買った時、ああこれは良くてもビリ等だなと予知できるんです。今まで外れたことがありません」

 興奮が一気に引いていくのが分った。
 万全は再び何事もなかったかのように、元の笑顔に戻った。

「分りました。素晴らしい予知能力ですね。当選番号の予知ができればもっと素晴らしいですけどね」

「そんな事出来たら、派遣なんかやってないっすよ……」

 憮然とする男を無視して、万全は一層声を大きくした。

「次は私が自己紹介をします。名前は万全大力。能力は、実際にこの場でお見せしましょう」

 万全はちょっと居住まいを正してから、両手を開いて前に伸ばした。

 そして次の瞬間、誰もが驚愕のあまり呼吸も忘れたのだ。
 
 
 ~つづく

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コメント

SF系が好きなんですが、
次ぎにどうなるのか・・予測出来ません。
あの螺旋の頭の・・ちよっぴり想像して
くすっ・・とさせて、なんかすごい能力が??
次ぎが早く見たいです。

投稿: | 2007年11月 2日 (金) 15時58分

小説の中で
超能力を扱うのは、むずかしいと思います。
なぜなら、超能力の扱い方一つで、絵空事に
なるからです。
上村先生は超能力の扱い方が上手い。
本当の超能力はショボイのかもしれませんね。

投稿: ドスコイ | 2007年11月 3日 (土) 05時33分

宝くじなかなか当たらないですよね。
はずれるとわかってても買っちゃう感じわかります。予知はできないけど。

宇宙人まででてきた。次はなにがでてくるの?

投稿: おっくん | 2007年11月 3日 (土) 16時11分

上村先生♪ こんばんは  この先にどんなサプライズが待っているのか‥超気になります。ワクワクo(^-^)o

投稿: Honey | 2007年11月 3日 (土) 19時30分

話の展開がまったく見えないところに次は何がくるのーってひかれます、万全大力のなぞがもっと知りたくなってきました。

投稿: あんぱんまん | 2007年11月 4日 (日) 23時17分

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