14 見張るモノたち
須賀老人を脅かしたヘリコプターは、屋上に誰もいなくなったのを確認すると、機首を巡らして飛び去っていった。
機内には操縦士を除いて、3人の黒スーツの男たちがいた。
左頬に長い切り傷のある男が、携帯電話を取り出して、誰かに向かって何か命じた。
誰もいなくなった屋上に、一人の女が佇んでいた。
長い髪を風になびかせながら、色白の華奢な姿にそぐわない、強い光を湛えた目で遠くに去っていくヘリコプターを見つめていた。
誰もが、はっとするような女だった。
それだけの美貌をもっているだけではなく、漂わせている孤独な雰囲気が異様なのだ。
まるで、絶滅を迎える種の最後に残された一人のように見えた。
女は携帯電話を取り出して耳に当てた。
真っ赤にマニキュアされた長い爪が、透きとおるような肌と鮮やかなコントラストをなしている。
「私です。ええ、大体連中の様子は分かりました。貴方がなぜあんな連中に注意を払うのか、私には理解できません。確かに一種の能力者かもしれませんが、一般的には奇人、変人の類だと思います。私たちの計画にとって、障害となる可能性はゼロです。詳細はあまりにもバカバカしくて報告する気にもなりませんが、もし必要ならば……」
女は言葉を切って、相手の言うことに耳を傾けた。
「分かりました。それでは後ほど詳細をメールでお送りします」
形の良い眉をひそめながら言った女は、相手の言葉にさらに険しい顔になった。
「分かりました。面倒は起こしませんから」
吐き捨てるように言うと、女は携帯電話をしまった。
強く一陣の風が吹いてきた。
女は寒そうにコートの襟をかき寄せた。
次の瞬間、風だけが無人の屋上を吹き渡っていった。
携帯電話をポケットにしまった男は、白衣の胸についたネームプレートを少し手で直した。
ネームプレートには{帝都大学医学部病原細菌学 准教授 三上 聖(みかみ・きよし)}と書かれていた。
~つづく~
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コメント
徐々に見えてくる色んな超能力者の能力がワクワクしますね。
うらやましいものから、そうでないものまで。
聞いたことのない超能力や、とっても嫌な副作用が非現実的な内容をわりと現実的に感じさせてくれて入り込みやすいです!
投稿 Ocean | 2007年11月24日 (土) 22時26分
新しい展開ですね。
謎の女の登場。
謎の女はサラマンダー敵役だと思いますが、
どんな悪役軍団なのでしょうか?
謎が謎を呼びますね。
投稿 ドスコイ | 2007年11月26日 (月) 04時43分
ようやく女性が登場しました。
やはり、男と爺さんではと思っていた矢先です。
この女性がどんな活躍?をするのか楽しみです。
投稿 トレビノ | 2007年12月29日 (土) 08時45分