37 真の友人
異能戦隊サラマンダーは結成と同時に分裂の危機を迎えていた。
それは須賀の一言で始まった。
「さて次に、色はどうしますかな?」
「い、色って?」
伊能が情けなさそうな声をあげた。
「希君が言うのには、やはり五色の戦隊でなければと」
「赤レンジャーとか、黄レンジャーみたいなやつですか?」
勘弁してくれという気持ちを精一杯込めて、伊能は眉を八の字にした。
「俺や土岐さんなんて、もう中年のおっさんですよ。戦隊名だけでも恥ずかしいのに……」
土岐がぐっと身を乗り出してきた。
「いいじゃないか。希君がそうしたいのなら、俺は赤マンダーでも黒マンダーでもかまわん」
万全が分かってないなあという顔つきでいった。
「赤マンダーはないでしょう。やっぱりサラマンダーレッドっていう感じですかねえ。あ、僕はレッドを希望します」
「万全さん、ずるいっすよ。レッドっていったらリーダーみたいなもんじゃないですか」
二宮が口を尖らす。
伊能は呆れたように両手を広げた。
その頃、三上は「真の友人」から送られてきたメールの指示に従って、須賀抹殺の手配を終えていた。
「真の友人」とは誰なのか、三上は未だにその正体を知らなかった。
三上がテロ計画を練り始めた頃から、突然届き始めたメールだった。
差出人のアドレスもない。
未知の誰かに計画を知られているという恐怖に、三上はパニックに陥った。自分のアドレスを全て破棄しても、いつの間にか三上のパソコン上にメッセージがファイルの形で置かれるようになった。
三上が「真の友人」に対して、少なくとも敵ではないと認識したのは、そのようにして置かれたファイルを開いてからだ。
当時三上が最も苦心していたのは、炭疽菌の毒性をいかに強化するかだった。
「真の友人」が置いていったファイルは、三上の重大なヒントになる外国の文献だった。
それ以降「真の友人」の正体を詮索する気もなくなった。
目的さえ達成できれば、自分の身の安全についてはどうでも良かった。利用できるものならば利用しようと割り切ったのだ。
事実、それ以降もたびたび三上の大きな手助けとなった。
特に実行部隊の準備に関しては「YUKI」という謎の女を紹介してくれた。
闇サイトやドラッグマーケットと深い関わりがあるらしいYUKIは、三上の求めに応じて40人のそれぞれ面識のない部隊を揃えた。
外国人が中心だが、全員が報酬さえ積めば殺人も辞さない連中ばかりだ。
三上はYUKIの求めに応じて資金を用意するだけで、ほかの誰とも接触する必要がなかった。
YUKIが実行部隊の者たちと接触する場所が、サラマンダーという巨大ネットカフェであることくらいしか知らなかった。
先ほどYUKIに、須賀殺害を依頼するメールを送った。
YUKIの報告だと、須賀はヤクザの親分らしい。しかしボケ気味でガードも甘いという。
おそらくYUKIはテロ実行部隊とは別に、ヒットマンチームを作るだろう。
少し気味の悪いところがあるが、使える女だと三上は思っていた。
三上は蒼ざめた顔で、携帯電話がメール受信の知らせを告げるのをじっと待ち続けた。
~つづく
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コメント
須賀老人の危機ですね。
ヒットマンチームと
出来たばかりで、まとまりの無いサラマンダー達の
戦いが心配です。
投稿 ドスコイ | 2008年2月29日 (金) 08時03分