48 アシッドハウス
サラマンダーに到着したのは約束の午前0時より10分早かった。
伊能を先頭に、万全、須賀、土岐の順番で地下の入口に続く階段を下りて行った。
万全が手に持っているコンビニの袋には、飲み物のペットボトルや軽食類が入っている。
タケトが飲食物に薬を入れられた可能性を考えてサラマンダーの飲食物には一切手をつけないことを決めたのだ。
サラマンダーの入り口のドアを開けると、強すぎる芳香剤の匂いが鼻をついた。
――引き返せ
なぜか伊能の心にそんな思いがよぎった。
「いらっしゃいませ。再開したサラマンダーにようこそ」
以前話したことがある、唇の端にピアスをした男が馴れ馴れしい微笑みを投げかけてきた。
「お一人ずつこちらのカードにご住所、連絡先をご記入ください。警察からの厳しいお達しでして」
伊能達は並んでカードに記入しはじめた。
伊能が真っ先に書き終えてカードを店員に渡した。
「ありがとうございます」
といって受け取った男の唇の端に、ピアスに被さるような涎が白く溜まっていた。
――前にもそんな光景を見たな
ぼんやりとその白い泡を見ていると、その中から糸くずのようなものが見えた。
しかも蠢いている。
はっとして凝視すると、男はぺろりと舌で舐めとってしまった。
そして何事も無かったかのように微笑している。
――何をやっているんだ!引き返せ!
衝動のように湧き上がってくる強い思いに、伊能は他の三人を見た。
万全は熱心にカードに記入を続けている。
細かい几帳面な字で丁寧に書いている。
須賀は多少眠いらしく、少しぼんやりしている。
土岐は何度も鼻をひくひくさせては、首を傾げている。
まだ危険な匂いは感じないらしい。
――考えすぎか?臆病になっているのか?
伊能は店員から入店時刻を刻印された伝票を受け取った。
0・00と刻印されている。
途端に店員の後ろに張ってあるこんな言葉が目に飛び込んできた。
{ゲームがスタートすると、リセットはできません。どうぞごゆっくりお楽しみください}
再度見ると、それはあるネットワークゲームに関する長い注意書きで、文章の中にバラバラに存在している言葉が浮かびあがって伊能の目に飛び込んできたようだった。
――変だ!何かヤバい!
伊能が皆に注意を促そうと思った時、他の三人はコミュニティスペースまで進んでいた。
コミュニティスペースには、何人かの他の客たちがくつろいでいた。
「ちょっと皆、待って!」
呼びとめた伊能の大きな声に客たちが一斉に伊能を見た。
全員が同じ顔だった。
全員が二宮だったのだ。
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コメント
>全員が同じ顔だった。
これは怖い。
まさに悪夢ですね。
ナイトメアなら、、目を覚ませば済みますが、
現実なら恐怖ですね。
投稿 ドスコイ | 2008年4月10日 (木) 11時00分
いいですね!
どんどん楽しくなっていきますね。
早く続きが読みたいです。偶然、携帯でこの小説見つけて以来、セイギのチカラにやばいくらいハマってます。
投稿 もぐろ | 2008年4月10日 (木) 21時32分